Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
02 「強い方が勝つんじゃない、
 勝った方が強いんだ」



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2021/05/14 掲載




2016年プレミアリーグ優勝時のレスター・シティ


 先日構想が発表された欧州スーパーリーグ。サッカー界のみならず政界からも批判が相次ぎ、わずか二日で崩壊したという話題性もあり耳にした人も多いのではないだろうか。ここで一番批判されているのは収益のため、現場やファンを置き去りにした経営陣である。監督や選手達さえもニュースで見るまで自分たちのクラブがスーパーリーグに参加することを知らなかったというのには僕も驚いた。
 そしてもう一つ問題になっているのが公平性だ。通常サッカーでは公平を期すため基本的にどのチームも成績次第で大きな大会に出場できる。逆に強いチームも負ければ出場権を失う。しかしスーパーリーグの構想では、成績に関わらずバルセロナなど12のビッグクラブは出場を確約されている。これはよくない。なぜならファンは(少なくとも特定のチームの熱狂的なファンではない僕は)強豪同士の試合ではなく弱いチームが勝ちあがる下剋上が見たいのだから。例えば2015‐16シーズン、前年にギリギリ降格を免れたレスターのプレミア優勝は誰が予想出来ただろうか。また野球でいえば2018年夏の甲子園、地方の公立高校ながら秋田勢として103年ぶりの決勝進出を果たした金足農業高校も凄かった。これらは全て、規模の小さいチームにも勝ちあがるチャンスが与えられていたからこそ起こった下剋上だ。特定のチームを守り、不当に他のチームから出場枠を奪うスーパーリーグでは起こりえない。
 ドイツのレジェンド、ベッケンバウアーが「強い方が勝つんじゃない、勝った方が強いんだ」という(おそらく色々なところで引用されている)名言を残しているが、サッカーで重要なのは機会平等である。スーパーリーグに参加を表明していたクラブはビッグクラブが潤えば移籍金などでその他のクラブも潤う、という結果平等を目指していたのかもしれない。しかしファンや選手が求めているのはお金ではなく、チームが大舞台で輝くチャンスである。そのためサッカー界はどのクラブでも勝者になれるよう、全てのチームに平等な機会を与えるべきである。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!