Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
06 スポーツ以上の
意味を持つ試合?



CONTENTS

2021/06/11 掲載




2018年エル・クラシコにて。リオネル・メッシとセルヒオ・ラモス。


 「オリンピック・エリアにおいては、いかなる種類のデモンストレーションも、いかなる種類の政治的、宗教的もしくは人種的な宣伝活動は認められない。」(オリンピック憲章61.宣伝と広告)
 長編小説のような入りをしてみたが、上記はオリンピックはスポーツの祭典であり政治とは切り離されるべきとしているため、政治的な活動を禁止している文言だ。要するにオリンピックでは人種差別問題への抗議として膝をつくなど、政治的なメッセージを含む行為は許されない。では本当にスポーツと政治は切り離せるのか。少なくともサッカーでは無理だ。
 世界的な人気を誇るレアルマドリードとバルセロナの対戦エル・クラシコは大きな政治的構図の縮図だ。首都マドリードに本拠地を置くレアルと虐げられ独立を望むカタルーニャ州のバルセロナ。1936年からスペインで独裁政権を築いたフランシスコ・フランコはカタルーニャ語を禁止するなどカタルーニャの独立意識を抑制してきた。またカタルーニャ共和主義左翼(政党)のメンバーであった国会の副議長を裁判にかけず処刑しさらなる反発を生んだ。そしてこの政権に支持されていたのがレアルマドリードだ。
 他にも、同じ都市に本拠地を置くもののファン層が違うチーム(例えばブエノスアイレスのリーベルプレート=富裕層、ボカジュニアーズ=労働者層)の対決などでもクラシコ同様、試合はスポーツ以上の意味を持つことがあり、そんな試合はとても白熱したものになる。いつもより荒く、クオリティより闘志、スペイン代表でレアルの主将セルヒオ・ラモスはキャリアで5回も対バルセロナの試合で退場になっている。もちろん白熱するのは選手だけではない。ブーイングは序の口と言いたげなサポーターは試合中には相手選手や審判に怒号を浴びせ、ゴミを投げつけ、しまいには暴徒と化す。うん、これはよくない。やはりスポーツと政治が絡むとろくなことにならない。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!