Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
07 Welcome Back
酒井!



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2021/06/18 掲載







 僕のコラムを読んでいる人はどのくらいいるのだろうか。数回前に日本人選手は海外でプレーすることにこだわり、ピークを過ぎた選手もJリーグに帰って来ようとしない、という話をしたのだが、僕の発言を反証する例が生まれてしまった。
 それはDF酒井宏樹の浦和移籍だ。現在31歳の酒井は昨シーズンもフランスリーグ5位でフィニッシュしたオリンピック・マルセイユでレギュラーとして活躍していた。僕自身「少し早くね?」と思ってしまったのだが、一貫性を保つためにもなぜこの移籍が当事者全員にとっていいものなのか説明しようと思う。
 まず、マルセイユ側には2億円とも言われている移籍金が入る。酒井はベテランの域に達しているため、売却するタイミングとしては今夏がベストだった。次に浦和には世界レベルのサイドバックが加入することになる。フランスと比べレベルが低いJではまだまだ3〜5年後にもトップレベルでいられるだろう。またJの若い選手達は酒井から多くのことを学べるだろう。実際オリンピック代表でOA(前々回に出てきたね!)として選出されている酒井に対しU-24のメンバーは技術や経験からくる頼もしさを感じている。
 2019年にはファンが選ぶクラブの年間最優秀選手に選ばれた酒井は、自身の「キャリアを日本サッカー界へ還元する」時が来たと公言している。サッカー界の最高峰である欧州でのキャリアを諦め、次の世代のために帰国を選択した酒井は賞賛に値する。
 上記のようにベテラン選手の帰国にはメリットが盛り沢山だ。日本サッカー界の発展という意味では日本サッカー協会が移籍金の支払いなどで援助してもいいのではないかと思うレベルだ。まぁファイナンシャルフェアプレーの観点からは現実的ではないけれど、とりあえず本田と香川は酒井を見習ってくれないかなぁ。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!