Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
09 これこそ
サッカーの醍醐味!



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2021/07/02 掲載







 EUROのグループリーグが終わり、決勝トーナメントに進出する16か国が出そろった。その中で僕にとって一番印象に残っているのはデンマークだ。
 第1節、デンマーク対フィンランドの一戦を僕は見てはいなかった。それでもデンマークのエース、クリスティアン・エリクセンが病院に搬送されたというニュースは直ぐに耳に入った。 最初は怪我かと思っていたのだが映像を見ると何の接触もないプレーで倒れ、後で聞いたことなのだが心肺停止に陥っていたようだ。
 試合は中断後、目覚めたエリクセンの希望もあり再開されたが、ショックを払拭出来なかったのか、デンマークは初戦を0‐1で落とした。エリクセンは検査後、ICDという心臓の動きを監視する機械を埋め込んだのち退院を許された。しかし、まだトップレベルでプレー出来るかは分からないという。
 そして迎えた2戦目、デンマークは世界ランキング1位のベルギーと対戦。エースのエリクセンを欠く中、前半2分に相手のミスを見逃さず先制。前半はリードを守り切るがしかし、後半に2失点を許し逆転負けを喫してしまう。
 そしてグループリーグの最終戦、2戦で得たポイントはゼロと後がない状況でロシアと対戦。39分に先制すると59分にも追加点。70分には一点を返されるがその後さらに2得点を挙げ、4−1でグループリーグ逆転突破を決めた。
 デンマークはこのグループリーグで「不可能はない」ということを見せてくれた。弱いと思われていたチームも、崖っぷちに追い込まれたチームも、最後には笑っている可能性がある。 そしてサッカーはプレーの自由度も高く、11人という大人数で行うため、最後まで何が起こるのか分からない。これこそサッカーの醍醐味だと、僕は思う。
 そしてデンマークはベスト16の試合でもウェールズを4‐0と粉砕し、ベスト8に駒を進めた。さてこのコラムが連載された翌日には決勝トーナメントベスト8の試合が行われる。彼らはどこまで魅せてくれるのか。これからも注目だ。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!