Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
21 チームと選手、
先に来るのは?



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2021/09/24 掲載







 いいチームに強い選手が必要かどうかは議論の余地があるが、強い選手がいいチーム作りの助けになるのは確かだろう。だからこそ、W杯本番直前まで批判されている日本代表でもベスト16に到達することが出来るし、選手獲得に莫大な資金を投入してもマンチェスターシティはチャンピオンズリーグでの優勝経験はない。
 クラブレベルでは補強方針がこの差の原因であると思う。日本ではヴィッセル神戸、欧州ではパリ・サンジェルマンは選手中心の補強を行なっている。良い選手をお金を積んで獲得し、個の力を積み重ねチームを作る。しかしこれにはコストがかかりすぎるため、資金力(パリ=オイルマネー、神戸=楽天)が求められる。そのためほとんどのクラブはこの手法をとれないし、そもそもこの補強方針が効果的なのかも疑問だ。シティだけでなくパリもオイルマネーをバックに大型補強を毎年のように行なっているにも関わらず、未だチャンピオンズリーグを獲ったことはないし、神戸もプレイヤーの実力を十分に活かせているとはいえない。
 逆にリバプールは必要なポジションに必要なタイプの選手を獲得する補強方針を採用している。そのため、誰が出ても同じようなサッカーができるし、彼らはこの方法で作り上げたチームで世界の頂上に立った。しかし昨シーズンは苦戦した。センターバックに大量の負傷者が出たせいで、チームのバランスが崩れたからだ。この方針では柔軟に戦術を変えることができないという弱みが露呈してしまった。
 この2つを両立するのはほぼ不可能だが過去にはそんなチームも存在した。2010年前後のバルセロナだ。下部組織出身の選手ばかりでクラブの思想を良く知っていたし、しかも彼らの多くは世界トップレベルの選手でもあった。正直チームありきの補強の方が成果を得られると思うのだが、パリのようなドリームチームにロマンを感じてしまう自分もいる。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!