Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
22 メッシを失った
バルサ



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2021/10/01 掲載




18歳ながらスペイン代表でも活躍するバルサのMFペドリ


 夏にメッシの退団を許してしまったバルセロナが失ったものは大きい。クラブとしてだけではなく、都市としてもだ。そもそも欧州ではサッカーの生活の中での立ち位置は日本とはくらべものにならない。スーパーリーグ騒動の時に首相が声明を出したり、クラブのファイナンシャルフェアプレーに関して政府が擁護するようなことは日本ではないだろう。そんな中でバルセロナは21年もの間在籍し、史上最高とも呼ばれるような選手を失ったのだ。
 しかしこの出来事をもう少しポジティブに捉えることもできる。例えばバルサはかつて”全員で崩すパスサッカー”だったのが、最近では”メッシのチーム”になってしまっていた。その結果チームとしての総合力が低下し、困ったときのメッシ頼みなんて言葉も生まれた。しかもメッシが凄すぎる故、なまじ結果を出してしまい、メッシは超高額の給料を受け取れるようになり、補強もメッシを中心のチーム作りへと変化した。そのいい例が今シーズンマンチェスターシティから移籍してきたセルヒオ・アグエロだ。イングランドでは1クラブでの最多得点記録を持つアグエロはメッシとはアルゼンチン代表で共にプレーし、プライベートでも交流があることでしられている。そのため、バルセロナはメッシの引き止め材料として使うためだけに獲得した(結局メッシは去ったのだが)。そのため、一番の高給取りが去り、本物の”チーム”作りを行なえるようになったと考えれば悪くはないのではないか。
 確かにメッシの影響力は他の選手の比ではない。しかし、いくらメッシがよくても、チームとしての結果を出していたとは言えず、改革が必要な時期に来ていたのは確かだ。そして今、バルセロナでは下部組織から才能ある若手が出てきている。一旦ゼロに戻ったバルサの再建は彼らにかかっているといえるだろう。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!