Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
26 内戦を終わらせた
サッカー選手



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2021/10/29 掲載




ディディエ・ドログバ


 サッカー選手は一アスリートといえどもピッチ外での影響力も大きい。世界からの注目度は今ではSNSで容易に確認できるであろうが、インスタグラムの個人アカウントのフォロワー数世界第一位はクリスティアーノロナウド、第三位はリオネルメッシだ。また、小さい国では世界で活躍するアスリートが国内で英雄のように見られることがある。この二つが重なって類を見ないストーリーを生んだのがコートジボワールのディディエ・ドログバ選手だ。
 ドログバはプレミアリーグでは4度の優勝とアフリカ出身の選手として最多得点数を記録し(つい先日エジプトのモハメド・サラーに並ばれた)、個人としてもアフリカ最優秀選手賞を2度受賞するなど、母国では英雄視される存在だ。
 そのドログバを生んだコートジボワールは2002年から内戦状態にあった。そして2005年、翌年のドイツW杯の出場権を最終戦で獲得した直後のコートジボワール代表の控室で、生中継のマイクを借りるとドログバは、争いを辞め、当時手続きが滞っていた選挙を実施するよう求めるスピーチをした。内容は”性別や出身地に関わらず全てのコートジボワール人が共存し、同じ目標に向かって一つになれることを私たちは今日証明しました。この素晴らしい国がいつまでも混乱に陥っていてはいけない。どうか武器を置いて選挙を行って下さい”というようなものだった(アバウトな意訳)。これがきっかけとなり、その後一週間で無事、選挙は行われたのだ。
 ドログバは自身の影響力を理解し、それを母国の分断を平和的な解決に導けるように使った。
 ちなみにこのコラムを書く時、不特定多数の目に触れる事を考慮し、複数のソースから裏付けを得るようにはしているのだが、はたしてこのコラムの影響力はいかほどなのか。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!