Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
29 富安、
アーセナル移籍の成否は



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2021/11/19 掲載




アーセナル本拠地のエミレーツスタジアム


 今年の夏の移籍市場で日本を賑わせたのは日本代表ディフェンダー、富安健洋のアーセナル移籍だろう。富安は22歳(移籍前)にしてボローニャ(セリエA)や日本代表の主力として活躍し、評価を高めていた。そしてアーセナルも過去にはプレミアリーグ史上唯一の無敗優勝を達成するなど、名門クラブとして知られている。しかしこの移籍は当初疑問視されていた。
 一つはアーセナル側の問題で、2シーズン連続の8位フィニッシュや、25年ぶりに欧州カップ戦への出場権を逃すなど、チームが低迷していたことだ。監督交代を求める声は絶え間なく聞こえ、シーズン開幕後無得点で3連敗と最悪なスタートも、今のアーセナルに移籍することは富安のキャリアを台無しにしかねないと日本人ファンが考える一因になっていた。
 一方でアーセナルファンの中には富安の獲得自体がクラブのためにならないと考える人もいた。当時、アーセナルの他にトッテナムも富安獲得に動いていたのだが、エメルソンという選手も両クラブの獲得リストに入っていた。エメルソンは富安と同じポジションでプレーする選手で、富安と同い年ながらコロンビア代表に選出され、バルセロナに所属していたことからエメルソン>富安ではないかという認識がファンの間ではあった。しかしトッテナムがエメルソンを獲得したため、アーセナルは富安と契約することになった。そんな経緯から一部のファンは富安の力不足を懸念していた。
 ところが蓋を開けてみると、富安加入後のアーセナルはトッテナム戦での勝利を含め6勝2分けと絶好調だ。第3節を終えて最下位だったチームは、優勝候補の一角とみられていたマンチェスターユナイテッドの一つ上の5位まで順位をあげた。試合はまだ3割も消化していないが、この調子が続けば名門復活も見えてくる。来シーズンには富安の移籍が転機だったと言われているかもしれない。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!