Little Halftime Talk

Soccer Columns in Jweekly
- San Francisco Bay Area Japanese Newspaper
【連載】サッカーむだ話 ハーフタイムのつぶし方
34 バロンドールの
基準



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2021/12/24 掲載







 先月29日、フランスのサッカー専門誌、フランス・フットボールが2021年のバロンドールを発表した。結果はメッシが史上最多、7度目の受賞を果たした。
 世界中の記者によって選ばれるバロンドールはサッカー界で個人に贈られる賞としては最も名誉のある賞なのだが、明確な選考基準は存在しない。そのため、この賞には複数の解釈ができる。
 一つ目はその年に最も活躍した選手を選ぶという見方だ。この基準で投票した記者はおそらくゴールなど比較的分かりやすい結果を重視する。実際バロンドールで守備的な選手が上位にランクインすることは稀で、過去15年間でディフェンダー、またはゴールキーパーがトップ3に入ったのは2回しかない。
 もう一つはその年最も優秀だった選手を選ぶという見方だ。この解釈をする記者はゴールなどの結果ではなく、プレーなどのパフォーマンスを重視する。もちろんバロンドールの60年を超える歴史の中で守備的な選手がこの賞を受賞したこともあり、その年にはパフォーマンスが重視されたのだろう。
 正直、今回のメッシの受賞は個人的には微妙だと思っている。世界トップレベルのゴール、アシスト数を記録し、そのキャリアで初めてアルゼンチン代表としてタイトルを獲得した活躍はもちろん凄いのだが、それを上回る選手がいたのも事実である。レヴァンドフスキはブンデスリーガの記録を塗り替えるゴール数を記録し、ジョルジーニョはチャンピオンズリーグとヨーロッパ選手権という2つの巨大なタイトルを獲得している。そしてもう一つ、メッシが2021年を通して活躍し続けていたかという問題だ。夏に移籍したパリではまだ上手く馴染みきれていないのか、活躍のペースが落ちている。
 そのためバロンドールが人気投票であるという批判に僕自身は反論できない。とりあえず、選出基準くらいは明文化したらどうなのだろうか。




shumpei WRITER:菊地俊平
日韓W杯が開催された2002年日本生まれ。在米8年。サッカー歴12年。
ポジションはMFまたはFW。好きな選手は松井大輔。来春から日本で大学生!